お知らせ
抗菌薬適正使用啓発週間「抗生剤ってどう使うの?」2015年11月20日
ときどき「他のところで抗生物質をずっと処方されているのです、飲み続けて大丈夫ですか?」と質問を受けることがあります
今週は、世界的に「抗菌薬を適正に使おう」という啓発週間になっています。
こだま小児科も応援しています。国立研究開発法人 国立国際医療研究センター
国際感染症センター忽那先生から送っていただいたポスターでパチリ♪
https://www.facebook.com/ncgmdcc/posts/626670464139513
「抗菌薬:こうきんやく」 は、「抗生物質:こうせいぶっしつ」「抗生剤:こうせいざい」と同じと考えていただいてよいです。
世の中には「ばい菌」がいるのですが、こどもの病気で問題になるばい菌は「ウイルス」か「細菌」かのどちらかです(ちなみに赤ちゃんの口やおむつにできるカンジダは真菌で、どちらかといえば例外的です)
私たち医師が「風邪ですね」といった場合、90%以上はウイルス感染です。
ウイルス感染には抗菌薬は効きません。
細菌はウイルスよりもサイズの大きな「ばい菌」で、こちらには抗菌薬が効きます。
小児科の外来で抗菌薬を使わないといけない細菌感染は、のどの溶連菌と、耳の中耳炎と、肺炎、膀胱炎ぐらいです。
そして、溶連菌なら薬によりますが通常7~10日など決められた治療期間が必要になります。「1日だけ使っておしまい」という使い方は本気で細菌感染を治すときにはやらないのです。
そして、こどもの感染症は、高熱がでていてもほとんどウイルス感染です。アデノウイルス、RSウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス・・・と種類はたくさんありますが、どのウイルスにも抗菌薬は効きません。自分の力で治せるものです。
抗菌薬は適切に使わないと「耐性菌」といって、「薬の効きにくいばい菌」を生み出します。我々の孫、ひ孫の世代まで使える抗菌薬を残すために、「抗菌薬を使うべき症例を見極める」必要があるのです。
そして抗菌薬を飲むと何割かのこどもたちは下痢をします。腸内のよい細菌までやっつけてしまうのが理由と言われています。
「抗菌薬は使うときは治療期間をしっかり守って使う。使わないときは使わない。」ということです。
もちろん医療には常に例外があり、微妙な判断を要求されることもありますので、絶対いつもこうだというわけではありません。ウイルス感染に細菌感染が合併することもあります。それは医師が判断します。
ただ、抗菌薬を処方する医師は「身体のどこに、どんな細菌がいるか」を説明できないといけません。それを説明できないならば抗菌薬を処方すべきではないというのが私の意見です。
「なぜ抗菌薬を処方するのですか?」という質問にちゃんと答えてくれる医師を選びましょう
ちなみに和歌山県民には抗菌薬のことを「マイシン」と呼ぶ人がいますが、これは「方言」だと思います。
こだま小児科のこの活動や写真がWHOでもとりあげられるかも、、という情報がとどいております。
和歌山でも、世界標準レベルの医療が受けられるようにこれからも努力していきたいと思います。
岩出市 こだま小児科