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原稿執筆:私が小児科診療で大切にしていることは、 ―「検査すること」よりも、「本当に必要かを考えること」―治療 108巻7号:第1特集 ハイエンド診察:小児科の立場から -未来を読む・変える短時間診療2026年6月2日

このたび、医学雑誌『治療』の特集において、**「小児科のハイエンド診療」**というテーマで原稿を執筆する機会をいただきました。

ハイエンド診療の解説は以下です
「近年,診断学は検査技術やバイオマーカーの進歩とともに飛躍的な発展を遂げている.その恩恵は計り知れないが,一方で,診察の本質が「検査へと至る前段階」として矮小化される危うさも孕んでいる.本特集でいう「ハイエンド診察」とは,決して高度医療機器に依存した診断技術を指すものではない.むしろ,限られた情報のなかで,患者の言葉の選び方や沈黙,生活背景といった文脈を読み取り,必要な情報を見極め,不要なノイズをそぎ落としながら意思決定に至る,その総合的な臨床能力を指している.本特集では,各分野で第一線に立つ臨床家が,自らの経験に裏打ちされた「会心の症例」をもとに,思考の過程や診察の工夫を率直に語る.」(巻頭言より)

私が小児科診療で大切にしていることは、
―「検査すること」よりも、「本当に必要かを考えること」―

「ハイエンド診療」と聞くと、特別な機械や高度な検査を使った診療を思い浮かべる方もいるかもしれません。
しかし、ここでいうハイエンドとは、必ずしも高価な医療機器や特殊な検査のことではありません。

むしろ大切なのは、
お子さんの症状、表情、話し方、保護者の方の不安、生活背景、これまでの経過などを丁寧に受け止め、
**「いま本当に必要な医療は何か」**を見極める力だと考えています。

小児科の診療では、保護者の方から
「血液検査をしてください」
「抗原検査をしてください」
「この薬を出してください」
とご希望をいただくことがあります。

もちろん、必要な検査や薬は適切に行います。
一方で、血液検査や抗原検査は、お子さんにとって痛みや不快感を伴う医療行為です。
その検査によって得られるメリットが、お子さんの負担を上回ると判断できる場合に行うべきものです。

また、薬についても同じです。
希望された薬をそのまま出すことが、必ずしも良い医療とは限りません。

たとえば、
「この症状であれば、この薬は必要ないと思います」
「今は薬よりも、経過をみることが大切です」
「この薬を使うことで、かえって不利益が出る可能性があります」

そのように理由を説明し、ご家族と一緒に納得しながら方針を決めていくことも、小児科医の大切な役割だと考えています。

今回、さまざまな分野で診療に取り組む日本を代表する先生方とともに、執筆者の一人としてお声がけいただいたことは、大変光栄なことでした。

ただ、私自身が「完成された最高の臨床医」だと思っているわけではありません。
むしろ、日々の診療の中で迷い、考え、振り返りながら、少しでもよい医療に近づきたいと思って診療を続けています。

当院では、検査や薬を「多く行うこと」ではなく、
お子さんにとって本当に必要な医療を、できるだけわかりやすく、納得できる形で提供することを大切にしています。

不安なこと、心配なことがあれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。
一緒に、お子さんにとって一番よい方法を考えていきましょう。

また、当院はより良い小児診療を目指して、日本各地から医師が研修にこられます。引き続き研修にご協力をよろしくお願いいたします。