こだま小児科

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お知らせ

抗生剤(こうせいざい)、抗菌薬(こうきんやく)、「マイシン」について2017年4月10日

春になって、幼稚園、保育園に通い始めたお子さんをもつご家庭も多いことと思います。

今まで、ほとんどウイルスに接触せずに過ごしてきたお子さんは、初めてのウイルスに感染すると、発熱したり、鼻水、咳が続いたりします。

鼻水、咳を主な症状とする感染症を「風邪(かぜ)」と呼びます。

大事なことは、「風邪には抗生剤は効きません!」です。

抗生剤と抗菌薬は同じものと思ってください。和歌山に帰ってきて、抗生剤のことを「マイシン」と呼ぶ人たちがいるのを聞いて驚きました。抗生剤=マイシンは和歌山弁だと思います。

それはさておき、

「風邪ですね、抗生剤出しておきますから様子をみてください」と、医者が言ったとしたら、それは不要な抗生剤の可能性が非常に高いです。

本当に抗生剤が必要な感染症なら、「○○という感染症ですから、△△という抗生剤を、□□日間飲んで治療する必要があります」と説明があるはずです。

抗生剤も副作用があるクスリですから(薬はリスク)、細菌が、どこの臓器にいて、その細菌に効く抗生剤は何が適切で、治療期間は何日間か。ということを説明する必要があります。

普通に勉強している医者なら、「風邪に抗生剤は効かない」ということは知っています。だれでも読めるガイドラインにもそう示されています。http://www004.upp.so-net.ne.jp/ped-GL/GL1.htm

では、なぜ医者は処方するのか?

「診断が間違えていて、あとから、肺炎とわかったら、苦情が出るから念のため」「以前、抗生剤を使わないで失敗した経験があるから、念のため」「患者さんに説明をするのがめんどくさいから念のため」「なんだかわからないから念のため」といったところでしょうか。

確かに、臨床は簡単ではないので、最初のうちにはわからずに、のちのち抗生剤が必要である感染症と判明することもあるのですが、そういうケースは稀(たぶん100人に数人)ですし、その感染症とわかってから対処すればほとんどのケースで間に合います。

何科にかかるにしろ、医師から抗生剤を処方されたときは、「どんな病気(病名)に対して、何日間内服するのか」を聞いてください。

子どもたちに不要な投薬が減りますように。といっても、私もまだまだ不要な投薬をしている可能性があります。父とも考えが違う部分もあります。私は一つ一つを患者さんにあわせて考えていきたいと思っています。大事なことは、患者さんと医師がよくコミュニケーションをとることと思います。

こだま小児科(児玉和彦)